ビット深度ダイナミックレンジ計算|PCM の DR・量子化 SNR・LSB 電圧を一括算出
ビット深度と基準電圧から、PCM オーディオのダイナミックレンジ・理論 SNR・量子化レベル数・1 LSB の電圧・量子化雑音 RMS をまとめて求める設計支援ツール。CD・DAT・スタジオ録音・32 bit float のプリセットで、実フォーマットとの対応も 1 タップで確認できる。
💡 このツールについて
「24 bit にすると 16 bit より何 dB 静かになるのか」「電圧で見ると 1 LSB は何マイクロボルトか」を即答したい場面は、ADC/DAC の選定やゲイン構成の検討でよく訪れる。ダイナミックレンジは 20·log10(2^N) dB、理論 SNR は 6.02·N + 1.76 dB という単純な式だが、桁の繰り上がりや電圧換算を毎回手で計算するのは煩わしい。
このツールはビット深度と Vref の 2 入力だけで、ダイナミックレンジ・量子化 SNR・量子化レベル数を 3 カードで大きく表示し、LSB 電圧・量子化雑音 RMS・符号付き整数の最大振幅・フルスケール電圧を詳細グリッドで補完する。LSB 電圧は V / mV / µV / nV を自動で切り替えるため、24 bit のような微小値でも読み取りやすい。プリセットは電話品質の 8 bit から DAW 内部処理の 32 bit float までを網羅し、規格ごとの差を横並びで掴める。
🧐 よくある質問
ビット深度を 1 つ増やすと何 dB 良くなりますか。 1 bit あたり理論上 6.02 dB ダイナミックレンジが広がる。16 bit から 24 bit へ 8 bit 増やせば、約 48 dB の余裕が加わる計算になる。
理論 SNR の「+1.76 dB」は何ですか。 フルスケールの正弦波を入力したときの実効値と、一様分布を仮定した量子化雑音の比から導かれる補正項。式は 6.02·N + 1.76 dB で、純粋なビット深度由来の上限を表す。
量子化雑音 RMS の 1 LSB / √12 とは。 量子化誤差が ±0.5 LSB の範囲に一様分布すると仮定したときの標準偏差。dithering を施さない理想ケースの値で、実機ではディザや回路雑音が加わる。
32 bit float を選ぶとダイナミックレンジが極端に大きく出ます。 整数 PCM と同じ 20·log10(2^N) 式で表示するため約 192.66 dB と出るが、これは整数モデルでの値。実際の 32 bit float は指数部でレンジを稼ぐため、この式はむしろ過小評価になる。内部処理のヘッドルーム指標として捉えるのが妥当。
Vref は何を入れればよいですか。 フルスケール時のピーク振幅電圧。実機の値が分からなければ 1 V のままで、LSB 電圧を相対値として読めばよい。
📚 量子化ビットと dB の豆知識
オーディオ CD の 16 bit は、規格策定時に当時のアナログ機器のノイズフロアと釣り合う「過不足のない」値として選ばれた経緯がある。理論ダイナミックレンジ約 96 dB は、生のオーケストラの最大音圧と静寂の差にほぼ収まる範囲だ。一方でスタジオが 24 bit を使うのは、録音段でヘッドルームを多めに取り、後段のミックスやマスタリングでゲインを動かしても量子化雑音が前面に出ないようにするため。32 bit float が DAW のミックスバスで好まれるのも同じ発想で、内部ではクリップを恐れずに加算できる余裕が効いてくる。